遺言の作成は自分でできる?種類や費用、書き方から遺言の執行まで
山田 愼一
相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。
保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
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遺言作成をしたほうが良い人
次のチェックリストに1つでも該当する方は、相続財産の大きさに関係なく、今後のトラブルを防止する意味で「遺言書作成をしておいたほうが良い人」に当てはまるでしょう。
【保存版】家族円満でも知っておきたい遺言書作成しておいたほうが良い人16選
- 夫婦間に子供がいない人
- 離婚した相手との間に子供がいる人
- 相続人に障害や認知症により判断能力のない方がいる人
- 法定相続人以外に財産を残したい人
- 相続人がいない人
- 相続人に行方不明・生死不明の方がいる人
- 相続人同士の仲が良くない人
- 不動産を所有している人
- 自身の意思で残す財産の分配や割合を決めたい人
- 内縁の妻(夫)がいる人
- 相続人が大勢いる人
- 会社経営者や個人事業を営んでいる人
- 農業を営んでいる人
- 財産を寄付したいとお考えの人
- 自分の財産を条件付きで残したい人
- 祭祀財産の継承者を決めておきたい人
遺言を作成する人はどれくらいいるのか
遺言を作成する人は年々増えてきており、日本公証人連合会の発表しているデータによると、平成25年は96,020件だったのが、令和元年(平成31年)は113,137件に増えています。
大阪の人口比率を考えると、大阪では年間約8000件の遺言公正証書が作成されている計算になります。
暦年 | 遺言公正証書作成件数 |
平成25年 | 96,020件 |
平成26年 | 104,490件 |
平成27年 | 110,778件 |
平成28年 | 105,350件 |
平成29年 | 110,191件 |
平成30年 | 110,471件 |
令和元年(平成31年) | 113,137件 |
残された方々が遺産相続で揉めることがないように、きちんと遺言を作成される方が増えてきているのかもしれません。
大阪相続相談所では無料相談を行っておりますので、遺言作成など相続に関するお悩みをお気軽にご相談くださいませ。
遺言作成の目的を決める
- 財産を遺す人の意思を実現するため
- 相続トラブルの発生を防止するため
- 相続手続きを円滑に行うため
遺言書を作成する目的によって、遺言の内容や作り方が大きく変わります。
まずは上記3つの目的をふまえ、遺言で何を実現したいかをはっきりさせておくことが非常に重要です。
遺言作成の費用
大阪相続相談所にご依頼いただいた際の費用は下記の表をご確認下さいませ。
サポート | 費用 |
遺言書作成(自筆証書) | 6万円(税込6万6,000円)~ |
遺言書作成(公正証書遺言) | 6万9,000円(税込7万5,900円)~ |
証人立会い | 1万9,000円(税込2万900円)/2名 |
遺言の保管(年一回の安否確認含む) | 一括 5万円(税込5万5,000円) 年払い 3,000円(税込3,300円)/年 |
遺言執行 | 50万円(税込55万円)~ |
遺言書の検認申し立て(裁判所に提出する書類の作成サポート) | 5万円(税込5万5,000円)~ |
※裁判所や公証役場等にて必要となる法定費用や手数料、消費税、通信費、交通費などの実費は別途ご負担をお願い致します。
1. 遺言の種類
遺言は民法によって何種類か用意されています。普通方式の遺言には、
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
があります。この中でも使われる場合の多い「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について、メリット、デメリットを比較します。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | |
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メリット |
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デメリット |
|
|
秘密証書遺言については、その内容を秘密にすることができることがその利点ですが、逆に言えば内容を確認できないために、せっかくの遺言が無効となる危険性もあります。
したがって、大阪相続相談所では積極的におすすめすることはありませんが、特に希望される場合には、作成プランをご提供いたしますので、ご相談下さい。
2. 遺言の書き方
遺言は、それぞれ遺言の種類によって法律で厳格に書き方が定められています。せっかく書いた遺言書も、書式に不備があるために、無効になることがあります。
自筆証書遺言と公正証書遺言の書き方についての説明をいたしますが、きちんとした遺言書を作成したいのであれば、一度司法書士などの専門家に相談することをおすすめいたします。
遺言作成のポイント
全文 | 自筆で記入。 縦書き、横書きは自由。 用紙の制限なし。 筆記具もボールペン、万年筆など何を使用しても構わない。 |
---|---|
日付・氏名 | 自筆で記入 |
捺印をする | 認印や拇印でも構わないが実印が好ましい |
加筆訂正 | 訂正箇所を明確にし、その箇所に捺印と署名をする |
3. 公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証人が遺言者の口述をもとに、遺言書を作成し、その原本を公証人が保管するもので、安全で確実な遺言書であることは間違いありません。口述の際には、2名以上の証人立会いが必要です。
公証人が作成した遺言書に、遺言者、証人、公証人が署名押印すれば、公正証書として認められます。
公正証書遺言の作成手順
誰に、どの財産を、どれだけ相続させるのかあらかじめ決めておきましょう
公正証書遺言の作成手順その1
証人を2人以上決めましょう
※推定相続人、未成年、被後見人、被保佐人、公証人の配偶者・四親等以内の親族、書記および雇人などは証人の資格がありません。
公正証書遺言の作成手順その2
公証人と日時を決めましょう
公証役場に依頼し、出向けない場合出張してもらうことも可能です。
公正証書遺言の作成手順その3
必要な書類を集めます
遺言者の印鑑証明書、戸籍謄本、受遺者の戸籍謄本、住民票(親族以外の人に遺贈する場合)、法人の登記簿謄本(会社等の法人に遺贈する場合)財産特定のための不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明書、預金通帳のコピー、証人の住民票、などが必要です。
公正証書遺言の作成手順その4
遺言の原案を作成しましょう
作成された原本は、20年間もしくは遺言者が100歳に達するまでの、どちらかの長い期間、公証人役場に保管されます。
公正証書遺言をお勧めする理由は、紛失、偽造を防止できることと、法的に間違いのないものが作成できることです。
遺言執行者は証人になることが認められていますが、未成年者、推定相続人、受遺者及びその配偶者、及び直系血族は証人にはなれません。
また、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇用人も同様に証人にはなれません。
証人・立会人になれない人について
4. 遺言書の保管について
遺言は書面で書くことになっていますが、遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。
発見してもらえなければ、せっかく作成した遺言は何の法的効力も持ちません。
従って、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり、勝手に書き換えられたりする心配の無い場所に保管しておく必要があります。
身の回りでそのような場所を探してみてください。そのような場所が見つからない場合は、以下を参考に保管場所を考えてみてください。
公正証書遺言の場合 |
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司法書士に頼む場合 |
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第三者に頼む場合 |
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遺言で遺言執行者を定めた場合には、遺言執行者に預けておくのが適当です。
5. 遺言の執行
遺言書の検認(遺言書が見つかったら)
相続が開始し遺言書が見つかったら、どのようにして遺言が実現されていくのでしょうか?
公正証書遺言は公証人役場に保管されているので相続開始後すぐに適用されますが、それ以外の遺言書はすぐに見つけられない場合もあります。いずれにしろ遺言は見つかった時点で速やかに、家庭裁判所へ持っていくことになっています。
家庭裁判所では相続人の立会いのもと遺言書が開封され、検認されます。
検認とは、遺言書の形式や状態を調査して、その結果を検認調書という公認文書にしてもらうことです。
公正証書遺言は公証人に作成してもらった時点で公文書扱いとなりますから、検認の必要はありません。
検認を受ける前に未開封の遺言書を開封し、偽造、改ざんすることは法律違反で、厳重に処罰されることになっています。遺言そのものが無効になることはありませんが、相続人に刑事罰である過料が科せられるなど、相続欠格として相続権を失うこともあるのです。
遺言書が2通以上見つかったら
もし遺言書が2通以上見つかった場合は、一番新しく書かれた遺言書が適用されます。
日付は記載されているはずですが、開封することはできないので、見つかった遺言書はすべて家庭裁判所に持ち込むことになります。
遺言書をなかなか見つけてもらえず、発見されたときは遺産分割が終わっていた、というケースもまれにあります。遺言の内容が遺産分割の内容と違っていた場合は、侵害を受けたと知った相続人が相続回復請求権を行使することになります。相続回復請求権によって遺産は遺言どおり再分割されます。
遺言執行
遺言の検認が終わると、いよいよ遺言内容を実現させることになります。
遺言書を実現するにはさまざまな手続きがあり、遺言ではそれを執行する遺言執行者を指定できることになっています。遺言執行者は必ずしも想定しておくものではありませんが、不動産の登記の申請や引渡しの手続き、不動産を遺贈するなど、遺言執行者がいなければ実現できないこともあります。
遺言ではそうした遺言執行者を指定したり、第三者に指定を委託したりすることができるのです。遺言執行者の指定は遺言の中だけで認められていて、生前の取り決めは無効になります。職務が複雑になると予想される時は遺言執行者を複数名指定しておくことも可能です。
また、遺言で指定を受けた人が遺言執行者を辞退することも認められています。遺言に指定がなかったときは相続人や利害関係人が家庭裁判所で選任の請求を行います。
遺言執行者は誰がなってもかまいませんが、法律の知識を要するので、司法書士などの法律専門家に依頼するのが通常です。遺言執行者は選任を受けると早速遺言の実行にかかります。
遺言の実行手順
遺言の実行手順その1
遺言者の財産目録を作る
財産を証明する登記簿、権利書などをそろえて財産目録を作り、相続人に提示します
遺言の実行手順その2
相続人の相続割合、遺産の分配を実行する
遺言に沿った相続割合の指定をして、実際に遺産を分配します。登記申請や金銭の取立てをします。
遺言の実行手順その3
相続財産の不法占有者に対して明け渡しや、移転の請求をする
遺言の実行手順その4
遺贈受遺者に遺産を引き渡す
相続人以外に財産を遺贈したいという希望が遺言書にある場合は、その配分・指定にしたがって遺産を引き渡します。
その際、所有権移転の登記申請も行います。
遺言の実行手順その5
認知の届出をする
認知の遺言があるときは、戸籍の届出をします
遺言の実行手順その6
相続人廃除、廃除の取り消しを家庭裁判所に申し立てる
遺言執行者はこのような職務をこなしていかなければなりません。
調査、執行内容は相続人に報告していく義務がありますが、執行がすむまではすべての財産の持ち出しを差し止める権限を持っています。
相続人は、遺言執行の職務を終了したとき、それに応じた報酬を遺言執行者に支払います。その報酬額は遺言でも指定できますが、家庭裁判所で定めることもできます。
手続の依頼(専門家に依頼するには?)
遺言執行など複雑な手続きの処理をまかせるなら、やはり専門知識をもった司法書士にその職務を依頼することが望ましいです。
司法書士へは自筆証書遺言を作成するときの指導を頼んだり、公正証書作成を依頼したりできます。また、相続開始まで遺言書の保管を任せる事もできます。
公正証書遺言や秘密証書遺言を作成する際は、証人として任命することもできます。あらかじめ司法書士に遺言の相談をしておくと、トラブルの少ない遺産相続の実現に役立つことにもなります。
大阪相続相談所では、お客様の状況にあわせて迅速な対応をいたしますので、ぜひお気軽にご相談下さい。
遺言書作成の流れ
遺言書作成の流れや大阪相続相談所のサポートの流れについて知りたい場合は、下記のページをご参考にしてください。
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