相続税対策の失敗事例
山田 愼一
相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。
保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
せっかく相続税対策を行っても失敗してしまうケースがあります。
なぜ失敗してしまったのか、失敗しないためにはどうすれば良かったのかを相続税対策の失敗事例をもとに説明いたします。
相続税対策の失敗事例1
相続税対策の失敗事例の状況
夫の死後、税務署による財産調査の結果、駅近くの一等地に広い土地を所有していたことが判明し、そこには妻名義の賃貸マンションが建っていました。
一般的には地代の支払いが発生しますが、夫の土地ということで地代の支払いはなし。いわゆる「使用貸借(私に無償で土地を貸している)」状態でした。
しかし土地を無償で貸していたため貸宅地とは認められず、数億円の5〜6割の評価減を受けることが出来ませんでした。もし地代の支払いをしていれば、高額な相続税を支払う必要などなかったのに……。という相続税対策の失敗事例です。
相続税対策失敗の原因
このケースは、妻が地代を支払っていれば、土地の評価額が約半分になり節税対策になったわけですが、実際に借地としての契約をしておらず、借地料の授受も行っていなかったことが相続税対策失敗の原因です。
その結果当然、相続税の節税対策にはなりませんでした……。
相続税対策を失敗しないためには
相続税対策は正しく行わないと、対策したつもりでも対策になっていないということがあります。やはり、自分で勝手に判断してはいけません。相続税対策に失敗しないためには専門家に一度意見を聞くようにしましょう!
相続税対策の失敗事例2
相続税対策の失敗事例の状況
Aさんは、父が亡くなったので、父が商売をしてきた関係で長年お世話になっている顧問税理士に相続税の申告をお願いしました。
今までの父の確定申告をしてきて、財産もある程度分かっており、一番適切な判断をしてくれるはずと考えての判断でした。
そうこうしているうちに、Aさんは、この税理士に言われるがままに書類を準備し、その結果8,000万円の相続税を支払うことになってしまいました。
あまりの大きい額にびっくりしたAさんはどこかおかしいのではと思い、税理士をしている学生時代の同級生に相談してみました。
すると、あまりにも大ざっぱな土地評価で、相続財産が1億も過大評価されていることが判明したという相続税対策の失敗事例です。
相続税対策失敗の原因
顧問税理士は2〜3年に1度くらいしか相続税の申告をしておらず、相続に関してはあまり得意ではなかったということが後にわかりました。
このケースは税理士にも得意不得意があることを考えずに、顧問税理士に安易にお願いしたことが相続税対策失敗の原因です。
相続税対策を失敗しないためには
気づいた時には、既に相続税の申告期限10ヶ月が過ぎてしまっていたが、申告期限から1年以内であったので、税務署に「更正の請求」をして処理しました。
しかし、申告は期限内にしたものの、期限後に納付したため、延滞税を負担するとともに、税理士への報酬も2人分程度かかってしまいました。
今回のような相続税対策の失敗をしないためには、相続税対策が得意な税理士であることを確かめて依頼するようにしましょう。
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相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人 の代表司法書士。
一般の方向けのセミナーの講師や、司法書士や税理士等専門家向けのセミナー講師も多数手がける。オーダーメイドの家族信託を使った生前対策や、不動産・法人を活用した生前対策が得意である。
- 【保有資格】司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
- 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」 著者/「はじめての相続」 監修
- 全国司法書士法人連絡協議会 理事