遺言書の失敗事例

山田 愼一
相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。
保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
せっかく遺言書を作成しても失敗してしまうケースがあります。
なぜ失敗してしまったのか、失敗しないためにはどうすれば良かったのかを遺言書の失敗事例をもとに説明いたします。

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遺言書の失敗事例1
遺言書作成の状況
Aさんは、遺言書で事細かに、この財産はこの子に、あの財産はあの子にときちんと振り分けていました。
しかし、Aさんが亡くなり遺言書の内容通りに振り分けようと思ったら銀行口座番号の書き間違いと、財産の書き漏れが発覚しました。
せっかく細かく書いたのに、書き間違えていた財産や書き忘れていた財産は内容通りに相続されずに兄弟の共有となってしまい、遺産分割で兄弟に争いが発生してしまいました。
遺言書失敗の原因
このケースは専門家に頼まずに自分だけで作成できる自筆証書遺言だった点が遺言書失敗の原因と考えられます。
遺言書は形式がきちんと決められており、内容に不備があると意向通りの効力を発揮できなくなってしまいます。
また書き間違いなどでなくても、遺言書を書いた後の人生で、財産が追加となることもあり、それが争いの種になることもあるのです。
遺言書作成を失敗しないためには
遺言書の書き間違いや作成後の財産追加によるトラブルを防ぐためには、指定されていない残りの財産の帰属先や分け方などを遺言書に書いておくことが必要でした。
しかし、このようなトラブル対策は専門家でないと見落としてしまうものです。
ご自分で作成するのが不安な方は専門家に相談されることをおすすめいたします。
遺言書の失敗事例2
遺言書作成の状況
Bさんは兄弟と仲が悪く、兄弟には一切財産を残したくありませんでしたが、Bさん夫婦には子供がいませんでした。
子供がいないので、このままでは兄弟に財産の一部が渡ってしまうと思い、Bさんの財産を全て妻に残すという遺言書を作成しました。
しかし、数年後Bさんは奥さんに先立たれてしまいます。
そしてその時にはBさんは認知症になっており、遺言書の書き直しはできず、全ての財産が兄弟に渡ってしまいました。
遺言書失敗の原因
このケースは、まだ良い方で、もしも奥さんもBさんに全ての財産を残すという遺言書を書いていた場合、奥さんの財産も兄弟にとられてしまう、という最悪の結果もありえました。
遺言書作成の際に、様々な状況を考えて、今後もしこうなったらどうするかを記載しておかなかったことが遺言書失敗の原因と考えられます。
遺言書作成を失敗しないためには
このケースのような遺言書の失敗を避けるためには、条件付きの遺言書を作成すべきでした。「妻が亡くなっていた場合には、どこそこに全部寄付する」などが条件付き遺言のよくあるパターンです。
どのような条件をつければ良いのかわからない場合は、一度専門家に相談されることをおすすめいたします。
遺言書の失敗事例3
遺言書作成の状況
Cさんは、子供のうちの一人と同居していました。
同居している子供は、ほかの子供たちがCさんに会ったり、旅行や買い物に連れて行くことに対して、ヒステリックに拒絶し、『会うときは自分を通さなければいけない』と言って聞きませんでした。
少し極端だが親思いの良い子供だと他の兄弟は思っていました。ですが、Cさんが亡くなってから会わせない本当の理由が分かったのです。
同居していた子供に全財産を相続させる自筆証書遺言が作成されており、Cさんが新たに遺言書を作成するのを阻止するためだったのです。
その結果、ほかの子供たちは、遺産調査や遺留分減殺請求に多大な労力を強いられることになりました。
遺言書失敗の原因
このケースは相続人の一人が独り占めなどを考えている予兆があるが放置してしまっていらことが遺言書失敗の原因と考えられます。
遺言書作成を失敗しないためには
このように、なんらかの予兆や独り占めなどを考えているような相続人がいる場合には、専門家に相談して進めないとたいていの場合に平穏に相続は終了しません。
結局は、この兄弟も不仲になってしまい、この先長い人生で、ずっとお互いを恨まなくてはいけなくなってしまいます。こんな不幸なことはほかにありません。早い段階で、専門的知識のある司法書士などに相談するのが一番良いと思います。
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相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人 の代表司法書士。
一般の方向けのセミナーの講師や、司法書士や税理士等専門家向けのセミナー講師も多数手がける。オーダーメイドの家族信託を使った生前対策や、不動産・法人を活用した生前対策が得意である。
- 【保有資格】司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
- 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」 著者/「はじめての相続」 監修
- 全国司法書士法人連絡協議会 理事
