生前贈与の問題とは?生前に多額の贈与をすると相続手続きに影響が!
山田 愼一
相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。
保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
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ご相談内容
弟は昨年家を建てる時に、父親から1000万円の資金援助を受けていました。父親が亡くなり相続税が発生したのですが、遺産分割を行う上で考慮されますか?
生前贈与の問題に対して専門家からの回答
お父様が亡くなる前に受け渡しがあった財産は、生前贈与にみなされます。
相続が起こる前に大きな財産が移動しているため、相続で遺産分割する際に、すでに相続財産分を受取ったとみなし、その分遺産分割で受取る分を減額します。これを「特別受益」といいます。
特別受益にあたるかどうかは、個々のケースで変わる場合があるので、専門家へのご相談をおすすめします。
大阪相続相談所にご依頼いただくと、不動産会社が系列にあるので、別途不動産会社を探して手続きを行う手間が発生しません。
相続に関する手続きを一括してご相談したいというお客様のニーズにお応えします。
また、生前贈与の問題に関して、グリーン司法書士法人の専門スタッフが一緒に考え、多くの事例を元にお話しします。
贈与税と相続税の一本化の動きがあり、生前贈与による相続税対策ができなくなる恐れがあります。
また、幸か不幸か、2021年7月に発表された2021年分の路線価が下落している地域が多く、不動産の生前贈与がしやすい状態となっている方も多いと考えられます。
上昇した地域でも、上昇幅は全体的に昨年よりも縮小傾向なので、生前贈与による相続対策をお考えの方はお急ぎください。
※路線価とは、相続税や贈与税を算定する際の基準となるもので、宅地が面する道路に設定された標準的な価格のことです。
特別受益とは
上記のご相談内容でも生前贈与の問題点としてでてきた特別受益とはどのようなものなのかご説明いたします。
特別受益とは、被相続人(相続される人、相続の開始にあたっては亡くなった人)から生前に多額の援助を受けていた場合の利益のことをいいます。
資金の援助だけではなく、土地や建物、株式などの援助も含まれます。
相続人が複数人おり、相続人の誰かだけが故人の生前に財産をもらっている場合、それを無視して遺産分割するのは不公平だ!と他の相続人が不満に思う可能性があります。
そのような場合には、生前贈与された分を特別受益として計算した上で遺産分割を行うことで公平に財産を分割することができます。
特別受益と判断されるものは「生前贈与」「遺贈」「死因贈与」などがあります。
生前贈与のメリット/贈与税の節税が見込める場合がある
ではそもそも生前贈与のメリットやデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
生前贈与のメリットとデメリットを理解して、相続問題にならないように活用しましょう。
生前贈与は場合によっては節税効果があり、節税効果が見込める場合、生前贈与をすると得することができます。
非課税枠を利用する
贈与税は【暦年贈与】か【相続時精算課税制度】で課税されます。
暦年贈与を選択すると、1年で110万円までなら贈与税が発生しません。
相続時精算課税制度を選択すると、累計2,500万円までなら贈与税が課税されなくなります。(超えると一律20%の贈与税がかかります)
特例を利用する
住宅取得等資金や教育資金一括贈与特例などを上手に活用することで節税することが可能です。
2015年(平成27年)以降、直系尊属(祖父母や父母)から20歳以上の直系卑属(子や孫)への贈与には「特例税率」が適応され、通常の贈与税よりも低い税率が設定されています。
また、住宅取得等資金の特例や教育資金一括贈与特例などの多くの特例措置があるので、活用できる特例があるか確認しましょう。
自由に贈与する相手を選べる
生前贈与などの贈与行為は、贈与者が贈与する相手を自由に選ぶことができるので、相続人ではない方に贈与したい場合や、特定の財産を指名した相手へ確実に承継したい場合などには非常に大きなメリットとなります。
遺言書を作成して、相続発生時に承継する方法もありますが、遺言書に不備があった場合は、希望通りに進まない可能性があります。
せっかく遺言書を作成したのに、希望通りにいかず、さらには相続トラブルに発展してしまう可能性もあります。
上記の内容のように、生前贈与の大きなメリットは節税効果が期待できる場合があることと、特定の財産を確実に承継できることが考えられます。
生前贈与のデメリット/税金が高くなる場合がある
続いて生前贈与のデメリットについてご紹介していきます。
場合によっては税金が高くなる
高い贈与税を支払う可能性があることと、贈与税以外の税金がかかる可能性があることが生前贈与のデメリットとして考えられます。
特に不動産(土地・建物)の場合は、一般的に贈与の際に名義変更を行うので、不動産の登記手数料や登録免許税・不動産取得税などが発生します。
不動産は贈与だと税金が高くなる
不動産を相続によって取得した場合の名義変更なら、登録免許税が0.4%、不動産取得税なしですが、通常の贈与の場合、登録免許税も不動産取得税も評価額の2~3%ほどが課されてしまいます。
不動産は、生前贈与すると余分に費用がかかってしまうのです。
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一般の方向けのセミナーの講師や、司法書士や税理士等専門家向けのセミナー講師も多数手がける。オーダーメイドの家族信託を使った生前対策や、不動産・法人を活用した生前対策が得意である。
- 【保有資格】司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
- 【関連書籍】「世界一やさしい家族信託」 著者/「はじめての相続」 監修
- 全国司法書士法人連絡協議会 理事