相続による所有権移転登記について解説!費用を安くする方法とは?

代表司法書士山田愼一

山田 愼一

相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。

保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート

不動産を相続したときには、不動産に関する手続きを一般的に司法書士に依頼されるかと思います。

その際に、所有権移転登記の見積もりが送られてくるかと思います。

こちらの記事では相続による所有権移転登記とはどのようなものか、その費用は安くなるのかについて、お話ししていきます。

所有権移転登記は不動産の所有権を第三者に証明するために、とても重要な手続きですので、しっかり理解しておきましょう。

【売買・相続】不動産登記の費用は安くできるか

こちらの動画では、相続の場合だけではなく、不動産を売買した場合の所有権移転登記についても解説しております。

所有権移転登記とは

登記とは、土地や建物など不動産の所有権が移ったときに所有権を明確にするために行います。

例えば、不動産を購入し、買主に所有権が移った際に、所有権が移ったことを証明するために行うのが所有権移転登記です。

所有権移転登記を行い、法務局に対し不動産の所有権が移動したことを登録しておくことで、不動産の権利が誰にあるのかを明示します。

不動産を購入したら所有権移転登記をすぐに行いましょう

では、所有権移転登記はいつ行うのでしょうか。

不動産を売ったり買ったりしたときは、必ず登記手続きが必要になってきます。

もし登記手続きをせずにいると、いつの間にか他の人と二重で所有していたなんてことになるかもしれません。

二重で所有することは滅多にないですし、もちろん二重に売った人は捕まります。

ですが、法律上は原則、登記を先にしていた方の所有権が認められるので、
二重で所有してしまっていた場合、先に登記していた方のものとなる可能性が高いのです。

なので、不動産を買って、お金を払うと同時に登記手続きを行うことをおすすめいたします。

買ったときは、このように対応しないと、買主側の権利が守られませんので気を付けましょう。関東と関西で少し異なりますが、基本的に登記費用を払うのは買主側となります。

不動産を相続した場合も同じように、相続したらすぐに所有権移転登記を行いましょう。

所有権移転登記を行うその他のタイミング

所有権移転登記を行う主なタイミングをご紹介いたします。

  • ・不動産を相続したとき
  • ・不動産を生前贈与などで贈与されたとき
  • ・不動産を購入したとき

不動産を相続したとき

不動産を相続したときも所有権移転登記の手続きが必要になります。

遺言や遺産分割協議によって相続したが、所有権移転登記を行っていないと、他の相続人に勝手に売却されるなどのトラブルに発展する可能性があります。

相続持分をトラブル対策のためにも、不動産を相続したらすぐに所有権移転登記を行いましょう。

不動産を生前贈与などで贈与されたとき

不動産の贈与を受けた場合も、所有権移転登記の手続きが必要になります。

贈与されたこと、所有権が移転したことを明確にするために所有権移転登記を行いましょう。

見積書について

続いて、所有権移転登記を司法書士に依頼すると、司法書士から送られてくる見積書の見方についてご説明していきます。

所有権移転登記にかかる費用は司法書士への報酬だけではありません。

例えば司法書士から送られてきた見積書に費用が30万円と書かれていたとします。

すると、その30万円すべてが司法書士の報酬だと思われる方も少なくありません。

ですが、見積書の内訳を確認していくと、実費というものが、かなり大きな割合を占めることが多いのです。

実費の中でも一番大きな割合を占めているのが、登録免許税という税金です。

登録免許税をわかりやすく言うと、登記申請するときに収入印紙を買って登記申請書に貼り付けて納める税金のことで、オンラインで申請の場合は、電子納付という形で行います。

登録免許税が内訳の中で一番大きい

不動産売買の場合、登録免許税は原則、不動産の評価額の2%の金額です。

評価額とは固定資産税を計算するためのもので、市役所や区役所など不動産がある地域を管轄している最小行政区域で発行される固定資産税評価証明書に書いてあります。

もしくは不動産を所有されていると毎年4月くらいに送られてくる、納税通知書か課税明細書の中に評価額が書いてあります。

基本的には評価額の2%ですが、単純に2%ではなく、住宅の場合は軽減が受けられるので状況によって税率が変わってきます。

軽減税率というものがあり、土地の場合だったら1.5%、建物の場合で軽減を受けられたら0.3%になることがあります。

税率が変わると金額が大きく変動するので、軽減税率が当てはまる場合はぜひ利用しましょう。

登録免許税の減免措置が適用された場合とされない場合の比較

例えば、不動産評価額が2,000万で、軽減を受けられない場合、税率は2%なので、登録免許税は40万円という計算になります。

もし軽減税率に該当する場合は、もっと少なくなるのですが、単純に考えると、登録免許税は40万円かかるということです。

上記のように軽減税率の対象ではない場合、登録免許税は結構な金額になってしまいます。

ですので、司法書士から送られてくる見積書に書かれている内訳で一番大きい割合を占めているのは登録免許税のことが多いのです。

登録免許税以外の費用の内訳について

登録免許税以外の費用は、不動産調査にかかる費用や、特別な書類がいる場合の経費などがかかってきます。

ですが、そのような登録免許税以外の実費は数千円くらいにおさまることがほとんどです。

登録免許税の軽減措置について

軽減税率は自分が住むための不動産が対象になります。

所有権移転登記の場合、登録免許税の軽減措置は5つあります。
それぞれ紹介していきます。

  • ・土地の売買による所有権移転登記の軽減措置
  • ・住宅用家屋の所有権移転登記の軽減措置
  • ・特定認定長期優良住宅の軽減措置
  • ・認定低炭素住宅の軽減措置
  • ・特定の増改築された住宅家屋の軽減措置
種類 主な要件 軽減税率
住宅用家屋の所有権移転登記
  • ・2022年3月31日までに売買や競売で取得した住宅
  • ・取得から1年以内の登記
  • ・床面積50平方メートル以上
3.00%
特定認定長期優良住宅
  • ・2022年3月31日までに売買や競売で取得した住宅
  • ・取得から1年以内の登記
  • ・床面積50平方メートル以上
  • ・特定認定長期優良住宅に該当
1.00%
認定低炭素住宅
  • ・2022年3月31日までに売買や競売で取得した住宅
  • ・取得から1年以内の登記
  • ・床面積50平方メートル以上
  • ・認定低炭素住宅に該当
1.00%
特定の増改築をされた住宅・家屋
  • ・2022年3月31日までに売買や競売で取得した住宅
  • ・取得から1年以内の登記
  • ・床面積50平方メートル以上
  • ・宅地建物取引業者が一定の要件を満たした増改築やリフォームを行った住宅
  • ・新築後10年以上経過した住宅
  • ・20年以内に建築された住宅
  • ・耐震構造の住宅
1.00%

上記の条件を満たしている場合に記載の軽減税率が適用されます。

それぞれ定められている要件を満たすと、軽減税率が適用されます。

軽減税率が適用されると、登録免許税がかなり圧縮されるので、該当するか確認してみましょう。

期限があるので、ご注意ください。

相続の所有権移転登記の事例

では、少し事例で見ていきましょう。

相続の場合も、亡くなった方から相続する不動産を取得される方への所有権移転登記が必要になります。
その事例をご紹介いたします。

相続により所有権移転登記を行う事例を紹介

お母さんが亡くなり、相続人はAさんとBさんの2名のみです。
相続した不動産は評価額1,000万円の土地と、評価額1,000万円の建物です。

遺産分割協議をして、Aさんが不動産を取得することになりました。

所有権移転登記などの手続きを自分でやるのは面倒なので、全部司法書士に頼みたいという場合の費用はこちらです。

相続による所有権移転登記を行う際の見積書の例

種別欄の横に、それぞれの報酬額が書いてあり、そこに記載されているのが司法書士の報酬です。

今回のケースでは、司法書士の報酬額は127,000円とあります。

そしてその隣に「登録免許税又は印紙税」という欄があり、その合計は93,130円となっています。

その内訳を確認すると、やはり実費の中で一番大きいのは登録免許税です。

種別が「所有権移転(相続)」の部分が登録免許税の金額で、80,000円です。

登録免許税の計算方法

では今回のケースの登録免許税は、なぜ80,000円なのでしょうか。

相続による所有権移転登記の場合の登録免許税の計算方法

不動産評価額:土地と建物で2,000万円
登録免許税の税率:0.4%
→相続の場合は、登録免許税の税率が0.4%

なので、2,000万の0.4%で80,000円という計算になります。

登録免許税の計算は、どの司法書士が申請しても、誰が行っても同じです。

その他の実費について

戸籍収集費用など登録免許税以外の実費についてお話しします。

戸籍収集費用は6,000円と書いてありますが、戸籍を取得するためにかかった費用のことです。司法書士が戸籍を全部代わりに取得しているので、そのあたりの実費ということになります。

ですので今回のケースでは、報酬には消費税がかかるので、追加で10,160円かかり、合計23万290円となるのです。

このように司法書士から送られてくる見積書には、司法書士の報酬だけではなく、登録免許税や実費が含まれた金額がかかれています。

所有権移転登記の費用を安くするには

所有権移転登記にかかる費用の内訳の中で、登録免許税が大きな割合を占めていることがおわかりいただけたかと思います。

しかし、先程お話ししたように、登録免許税は不動産評価額も決まっており、税率も決められているので、誰が行っても安くなることはありません。

あと安くできる部分は、司法書士の報酬です。

ではどうすれば安くできるのか、方法をご紹介していきます。

  • ①司法書士に依頼せずに自分で行う
  • ②自分で司法書士を探す

司法書士に依頼せずに自分で行う

まず一つ目は、自分でやってしまうことです。

相続だと自分でやる方もいらっしゃいますので、自分で行う選択肢もあるかと思います。

自分で手続きを行うと、司法書士の報酬が要りませんのでもちろん安くなります。

ただし相続登記の場合、自分で手続きを行うのは結構面倒ですし、司法書士の報酬の相場は10万円くらいなので、費用対効果を考えると司法書士に依頼する方が良いかもしれません。

グリーン司法書士法人に依頼された方でも、途中まで自分で行ったけども、やはり面倒になったので依頼したいというケースが結構多いです。

ご自身の時間や、調べ物や手続きが好きかどうか、あとは根気などを考えてみましょう。

自分で司法書士を探す

あとはもう一つは、どうしても安くしたいということだったら、司法書士を自分で探すという方法です。

費用の安い司法書士を自分で探したり、知り合いにいないか確認したり、ホームページなどで探してみましょう。

司法書士の報酬の相場はイメージいただけているかと思いますが、司法書士の報酬には特に規制はなく、基本的には司法書士の裁量に任されています。

ただ業界内で、ある程度相場があり、あまり高すぎると他の事務所に流れて、依頼をしてもらえなくなってしまいます。

ですので、探すと結構安くなる可能性はあると思います。

自分で探すということは、その分の時間もかかるので、それも含めてご自身のご判断で選択されることをおすすめいたします。

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