相続における生命保険の受け取り

代表司法書士山田愼一

山田 愼一

相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。

保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート

相続手続きにおいて生命保険金は、その受取人がどのように指定されているのかで対応が変わってきますので、受取人指定ごとに分けて考える必要があります。

どのようなケースがあるのかをご紹介しますので、ご参考にしてください。

相続における生命保険の受け取りのケース

相続人以外の人が生命保険金の受取人として指定されているケース

相続人以外の人が生命保険金の受取人として指定されている場合は、生命保険金は相続財産に含まれません。

生命保険の保険金は受取人の固有の権利として取得するので、相続人以外の指定の者が生命保険金の受取人と指定されている場合、生命保険金は相続財産には含まれません。

相続人の誰かが生命保険金の受取人として指定されているケース

相続人の誰かが生命保険金の受取人として指定されている場合は、生命保険金は相続財産に含まれません。

生命保険金請求権は受取人に指定された者の固有の権利ですので、被相続人が「相続人の誰か」を受取人に指定していた場合は相続財産に含まれません。

生命保険金の受取人が被相続人(死亡)自身とされているケース

被相続人自分自身を生命保険金の受取人として指定されている場合は、生命保険金は相続財産に含まれます。

自分自身を受取人として契約していた場合は、被相続人の死亡により、相続人は保険金請求権を取得します。

この請求権は被相続人の相続財産に含まれ、相続人が他の相続財産としてあわせて相続します。

生命保険受け取りの必要書類

  •  保険金請求書(保険会社所定の物)
  •  保険証券・死亡診断書(死体検案書)
  •  被相続人の住民票及び戸籍謄本
  •  保険金受取人の印鑑証明書
  •  災害事故証明書、交通事故証明書(死亡原因が災害・自己による場合)

などがあげられます。

※必要書類は各保険会社によって異なる場合がありますので、事前に確認しておきましょう。

相続税を算出する際の生命保険金の取り扱いについて

生命保険金は法律上原則相続財産に含まれませんが、相続税を算出する際には「みなし相続財産」として相続財産に含まれます。

そして非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」となり、その額を超えた部分を他の相続財産とあわせて遺産総額を算出します。

あくまで税法上の考え方で、被相続人の死亡により相続人が財産を取得したとみなして遺産総額に加算されるものであり、法律上の取り扱いとは切り離して考えましょう。

しかし、生命保険の契約内容によっては、保険金が相続財産に含まれて遺産分割の対象になる場合もあるのでご注意ください。

生命保険金は遺留分侵害額請求の対象外

相続で発生するトラブルに遺留分に関する争いがあります。

しかし、生命保険金を受け取った場合は遺留分侵害請求の対象にならないというのが判例の立場なので、遺留分を気にする必要はありません。

生命保険が特別受益に該当する可能性も!

特別受益とは

特別受益とは、特定の相続人が被相続人から遺贈または婚姻・養子縁組・生活の資本として贈与を受けた場合のことをいいます。

そして、特別受益と判断された場合は、その財産を相続財産に加算して遺産分割を行います。

生命保険と特別受益の考え方

原則、生命保険金は特別受益に該当しません。
しかし生命保険金が特別受益に該当するかが争われた裁判が過去にあり、他の相続人との間にあまりにも不公平さが発生する場合は特別受益と判断し、相続財産に加算するべきだと判断されたケースもあるので、ご注意ください。

また生命保険金の額や相続財産の額、個別の事情を考慮して、生命保険金が相続財産に含まれるかどうか判断されることになります。

相続放棄する際の生命保険の受け取りについて

相続が発生した場合、もちろん相続放棄する可能性もあり、相続放棄した場合の生命保険金の扱いがどうなるのか気になるかと思います。

相続放棄の場合も考え方は同じで受取人がどのように指定されているかで変わってきます。詳しくは下記ページで説明しております。

  相続放棄を行っても生命保険を受け取ることはできますか?

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  山田 愼一

相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人 の代表司法書士。
一般の方向けのセミナーの講師や、司法書士や税理士等専門家向けのセミナー講師も多数手がける。オーダーメイドの家族信託を使った生前対策や、不動産・法人を活用した生前対策が得意である。




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