相続した家の売却はどうしたらいい?手続きの流れや売却するコツを解説
山田 愼一
相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。
保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート
相続した家を売却しようと考えている方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、家の相続も売却もあまり経験するものではないので、どうすべきか困りますよね。
また、家の状態や立地によっては売却が難しいケースもあります。
家の売却をするためには、まず、遺産分割協議をした上で相続登記をしなければいけません。それらの手続きが終わってから不動産会社に依頼するのが一般的です。
家の相続時には相続税、売却時には譲渡所得税がかかることがありますが、控除や特例を利用すれば、税金を抑えることができるケースもあります。
この記事では
- ・家を売却する手続きの流れ
- ・相続した家を売却するコツ
- ・家が売却できないときの対処法
- ・相続税や譲渡所得税を節税する方法
などについて解説します。是非、参考にしてください。
目次 [ 閉じる ]
相続した家を売却するまでの流れ
相続した家を売却するまでには、以下のような手続きが必要です。
一般的な不動産を売却するときよりも、手続きや書類が多く必要です。
家の売却を検討している方は、一連の流れについてしっかりと理解しておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
STEP①遺産分割協議
まずは、相続人全員で、家を含む遺産を「誰が・どのように・どのくらい」相続するのか話し合いをします。この話し合いを「遺産分割協議」といいます。
遺産分割協議は、必ず相続人全員で行ってください。1人でも欠けていると、再度遺産分割協議をやり直さなければいけなくなってしまいます。
相続の内容について話し合いがついたら、その内容を遺産分割協議書にまとめて、相続人全員で署名と実印で押印してください。それが済めば、遺産分割協議は完了です。
遺産分割協議について詳しくは、こちらの記事を御覧ください。
遺産分割協議とは?司法書士が手続きや進め方を解説!解決事例もSTEP②相続登記
家を売却するためには、家の名義を被相続人(相続される人、相続の開始にあたっては亡くなった人)から相続人の名義に変更する必要があります。この手続きを「相続登記」といいます。相続登記の手続きについて詳しくは、こちらの記事を御覧ください。
相続登記の上手な進め方と費用についてSTEP③家の査定
相続登記が済んだら、不動産業者に依頼して家を査定してもらいましょう。
査定する際には、相場を把握するためにも、一つの業者に絞らず複数の業者に依頼することをおすすめします。
不動産一括査定サービスを利用すれば、自身で何件も回る手間を省くことができます。しかし、業者によっては相場よりも高い査定額を提示して売り主の気を引こうとすることもありますので、注意してください。
なお、グリーン司法書士法人では、グループ会社に不動産会社を有しています。
司法書士法人が運営しているので、安心・安全。登記手続きなど、売却までに必要な手続きもワンストップで承っております。業者選びで迷った際には、ぜひお問い合わせください。
STEP④必要書類を集める
家の査定を進めている間に、売却に必要な書類を集めておきましょう。
必要書類は以下のとおりです。
必要書類 | 取得方法 | 備考 |
---|---|---|
登記済権利証または登記識別情報 | 相続登記手続き完了後、管轄の法務局にて発行 | 2006年以前に購入した不動産の場合→登記地味権利証 2006年以降に購入した不動産の場合→登記識別情報 |
地積測量図 | 管轄の法務局 | 仲介業者へ依頼するときは仲介業者が取得してくれる。 そのほかの場合は自分で取るか司法書士へ依頼 |
【名義人に関する書類】 実印・印鑑証明・住民票の写し・本人確認書類 |
お住いの市区町村役場 | 本人確認書類は運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどの顔つきのもの |
売買契約書 | 作成する | 仲介業者がいるときは仲介業者が作成するのが一般的。 仲介業者を入れないなら、司法書士に作成してもらうか自身で作成。 |
重要事項説明書 | 作成する | 仲介業者がいるときは仲介業者が作成するのが一般的。 仲介業者を入れないなら、司法書士に作成してもらうか自身で作成。 |
固定資産税納税通知書及び固定資産税評価証明書 | 納税後に届く 手元にない場合は管轄の税務署 |
|
建築確認済証および検査済証 | 保管されている 再発行はできない |
紛失した場合は、 ・建築計画概要書 ・台帳記載事項証明書 が必要です。 どちらも市区町村役場で取得ができます。 |
建築設計図書、工事記録書 | 保管されている 紛失した場合は建築士などに再作成してもらう |
紛失した場合、仲介業者が作成の手配をしてくれることがほとんどです。 |
【集合住宅】 管理規約、使用細則、維持費関連書類 |
保管されている 紛失した場合、マンションの管理会社に問い合わせる |
|
耐震診断報告書、アスベスト使用調査報告書 | ない場合は、住宅耐震診断士などの専門家に依頼して作成してもらう |
売却を任せる不動産業者が決定してから取得するものもありますので、その時点で集められる書類を可能な範囲で集めておきましょう。分からないことは、不動産業者に相談すれば教えてくれるはずです。
STEP⑤不動産業者を決定する
家を売却する際、大切なのは「業者選び」です。売却がスムーズに進むためには、不動産業者の宣伝方法や営業能力などの手腕にかかっているからです。
「査定額が高かったから」「近所だから」「大手だから」という安易な理由で選ぶのはやめましょう。
査定額が高くても、最終的に売れなければ意味がありません。売れ残ってしまうと、家の価値はどんどん下がってしまいますし、受けられるはずの控除が受けられなくなってしまう可能性もあります。
また、大手だからといって、必ずしもスムーズに売却してくれるとは限りません。郊外にある家であれば、地元をよく知る、地元も不動産業者のほうが得意というケースもあります。
不動産業者を選ぶ際には、物件や立地を踏まえて検討し、決めることが大切です。
STEP⑥売却価格の決定
不動産業者を決定したら、家の売却価格を詰めていきます。より詳細な査定をするので、最初に提示された金額より増減する可能性があるということは留意しておくようにしてください。
業者によっては最初の査定時に高額な金額を提示して気を引き、実際の本査定では金額を下げてくることもあるので注意が必要です。
相場や、ご自身の希望について不動産業者としっかりと話し合い、納得できる売却価格を決定しましょう。
STEP⑦媒介契約の締結
売却価格に納得できたら、不動産業者と「どのような条件で売却活動をするか」「売却成立時の報酬はどうするか」などを話し合い、媒介契約を締結します。
媒介契約が締結されると、不動産業者を通して売りに出され、買い手が見つかるまで任せることとなります。
売却がうまく行かない場合には、適宜不動産業者と相談をするようにしましょう。
STEP⑧売買契約の締結
無事、家の買い手が見つかったら、買い手と売買契約を締結します。
売買契約については、基本的に不動産会社に任せておけば大丈夫ですが、契約内容は締結前にしっかりと説明してもらいましょう。
STEP⑨物件の引き渡し・登記
売買契約を結んだら、いよいよ物件の引き渡しです。
物件の代金を受領したら、物件を引き渡し、売主から買主に名義を変更する登記手続きをしましょう。
通常、不動産売買では、司法書士が立ち会い、物件の引き渡しと時に書類が一式揃っていて問題なく登記手続きができることを確認した上で、代金の支払いを行います。
これらの手続きが済んだら、家の売却は完了です。
家を売却する12のコツ
人気エリアのマンションや、築年数の浅い一戸建てであれば買い手は付きやすいでしょう。
しかし、相続した家の場合、建物が古かったり、立地が悪かったりしてなかなか買い手がつかないことも多くあります。
何もせず不動産業者に任せていては、いつまで経っても買い手がつかないということもあり得るのです。
なかなか買い手がつかない物件でも、売却しやすくするコツがあります。
具体的には以下のとおりです。
- 1.リフォームをする
- 2.古家付き土地として売却する
- 3.スケジュールに余裕をもって売却する
- 4.建物を解体する
- 5.家の特徴に応じて得意な不動産会社を探す
- 6.一般媒介で依頼する
- 7.相場を調査して価格設定を見直す
- 8.不動産会社に現地調査費などを支払う
- 9.個人間で売却する
- 10.隣人に売却を持ちかける
- 11.空き家バンクに登録する
- 12.自治体に売却する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.リフォームをする
一般的に、家は20年程度で価値がなくなるとされています。築年数が20年以上の家の場合、建物自体には価値がなく、土地だけの価値だけが残ることとなるのです。
また、古い家の場合、人気も低く、売却しにくいでしょう。
相続した家の場合、家が古いということが多いかと思います。
家が古いことが原因で買い手がつかないようであれば、リフォームすることも検討しましょう。
活用しやすい間取りにしたり、水回りを新しくしたりすれば、古い家であっても買い手がつきやすくなります。
ただし、リフォームはそれなりに費用がかかりますので、売却計画と合わせて検討することが重要です。
2.古家付き土地として売却する
古い家をリフォームしたり、解体したりする予算がないのであれば「古家付き土地」として売却することも検討しましょう。
「古家付き土地」とは、「家」として売るのではなく、価値のない家が建っている「土地」です。つまり、家を売るのではなく、土地を売却するということです。
価値のない家を解体する費用を買主が負担することになるので、土地の値段を相場よりも安くして売るのが一般的です。
買い手としては、比較的安価で購入できる上、浮いた分をリフォームなどに充てることができると、ニーズが高い傾向にあります。
3.スケジュールに余裕を持って売却する
不動産を売却するには、人気エリアの物件であっても、3ヶ月程度かかります。
売りにくい家の場合、それ以上の期間がかかるでしょう。
根気強く、長期間売却活動をし続けることで、買い手が付く可能性はあります。
1年以上の期間を要することも念頭に置き、「売れたお金」を充てにする皮算用はせず、諦めずに売却活動を続けてみましょう。
また、売却活動中は、定期的に売れない原因や、売れやすくなる方法について、不動産会社と相談することが大切です。
4.建物を解体する
家が古くなっていて、価値がなくなっているのであれば、一層のこと解体して更地にするのも良いでしょう。
更地であれば、駐車場や店舗、事業所など、利用用途が増えるため、一般の方以外にも、企業や商売を検討している人など、ニーズも広がります。
ただし、解体にも当然費用がかかります。解体費用の相場は、木造建築の場合坪単価3~5万円です。30坪の家であっても90万円ほどの費用がかかるので、その点は理解しておきましょう。
また、家を取り壊すと、土地の固定資産税の軽減措置が受けられなくなります。土地の固定資産税が6倍になる可能性がありますので、税額については、市区町村役場の固定資産税係に確認しておきましょう。
5.家の特徴に応じて得意な不動産会社を探す
不動産会社によって「都市部のマンション売却が得意」「地方の中古物件の売却が得意」など、それぞれ得手不得手があります。
大手の会社だからといって、どんな家でも得意というわけではありません。地方の家であれば、そのエリアを知り尽くした地元の不動産会社のほうが得意ということもあります。
ネームバリューで決めるのではなく、いくつかの不動産会社を回って、売却しようとしている家の特性に合ったところを選ぶようにしましょう。
6.一般媒介で依頼する
一般媒介とは、同時に複数の不動産会社に売却依頼をする媒介契約です。
複数に依頼することで「数撃ちゃ当たる」方式で、ニーズに届きやすくなり、売却できる可能性が高くなります。
売れにくい家の場合、販売価格が安い分、不動産会社の利益も少なくなるため、宣伝費などを抑え、売却活動に消極的になる傾向があります。
1社1社が消極的であっても、複数社が売却活動をしてくれれば、結果的にニーズに届きやすくなるのです。
なお、不動産会社への仲介手数料は、先に売却したところの早いものがちですので、一般媒介で複数社に依頼しても、仲介手数料が高くなることはありません。
7.相場を調査して価格設定を見直す
家を売る際に「なるべく高く売りたい」と思う気持ちは分かります。
しかし、あまりにも高い価格設定をしていると、売れるものも売れません。
買い手がなかなかつかないときには、改めて相場を調査して、家に見合った価格設定をするようにしましょう。
8.不動産会社に現地調査費などを支払う
立地や築年数の問題で販売価格が安い家の場合、売れたとしても不動産会社の利益が少ないため、売却活動に消極的になる傾向にあります。
そこで、積極的に売却活動をしてもらうために、不動産会社に仲介手数料とは別に現地調査費などを支払うのも良いでしょう。
宅地建物取引業法で、不動産会社が得られる仲介手数料の上限は以下のように決められています。
200万円以下の部分 | 5.5% |
---|---|
200万円超400万円以下の部分 | 4.4% |
400万円超の部分 | 3.3% |
例えば、300万円の家の場合の仲介手数料の上限は13万2,000円です。不動産会社は、この13万2,000円に見合った売却活動しかしてくれません。
一方、売却益400万円以下の不動産の場合、不動産会社はこの仲介手数料に現地調査費などを上載せして計18万円まで受け取ることができます。
現地調査費などを上乗せして支払うことで、不動産会社が売却活動を積極的に行ってくれる可能性があります。
9.個人間で売却する
不動産会社が売却活動を積極的にしてくれないのであれば、不動産会社に依頼するのと並行して、自身で売却活動をするのも一つの手段です。
知人や、親戚、近所の方のネットワークを使って、買い手がいないか探してみるのも良いでしょう。
ただし、個人間での売買契約や金銭のやり取りはトラブルの原因となります。買い手が見つかったとしても、売買の際の手続きについては、司法書士に依頼するようにしましょう。
10.隣人に売却を持ちかける
隣人の場合、「自分の土地が広くなる」というメリットがあるため、他ではあまり需要のない家・土地であっても購入してくれる可能性があります。
また、隣に限らず、近隣でお店などを出しているのであれば、駐車場として利用するために購入してくれることもあるでしょう。
一度、近隣の人に相談してみるのも一つの手段です。
11.空き家バンクに登録する
空き家バンクとは、自治体が運営する不動産情報サイトです。
空き家バンクには一般的なネット広告には掲載されていない物件も多いため、掘り出し物件を探している人もよく閲覧しています。
また、空き家バンクはネット広告のように物件数が多くないため、ニーズの目に留まりやすくなります。
空き家バンクへの掲載は無料なことがほとんどであるため、掲載してみるのも良いでしょう。
なお、空き家バンクを通して買い手が見つかった場合には、不動産取引業者が仲介しますので、仲介手数料は発生します。
【大阪市の空き家バンク|大阪の住まい活性化フォーラム】12.自治体に売却する
家や土地は自治体に売却することも可能です。
各自治体に、公有地拡大推進法の土地買取申出書を提出すると、自治体にとって必要な土地かどうかを検討し、必要と判断された場合には、買い取ってもらうことができます。
家は、公民館や児童館のような公共施設に利用できると判断すれば、買い取ってもらうことができるでしょう。
ただし、自治体に買い取ってもらえる可能性は高くないため、最終手段と考えておくのが良いでしょう。
相続した家を売却する際にかかる費用と税金
相続した家を売却する際には、様々な費用や税金がかかります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.税金
家の売却にかかる税金は以下のとおりです。
税金 | 納付先 | 支払いのタイミングと支払期限 |
---|---|---|
相続税 | 税務署 | 相続税申告後納付書が届いたタイミング 支払期限:相続開始から10ヶ月以内 |
登録免許税 | 法務局 | 固定資産評価証明書が発行された年度内(4月1日~翌年3月31日) |
譲渡所得税 | 税務署 | 売却した日の翌年、確定申告をしたとき |
復興特別所得税 | 税務署 | 売却した日の翌年、確定申告をしたとき |
印紙税 | 税務署 (購入は郵便局など) |
印紙を購入し売買契約書に貼付 |
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
●相続税
不動産に関わらず、相続した際にかかる税金です。
すべての人にかかるわけではなく、基礎控除【3000万円+600万円×法定相続人の人数】を超えた場合のみです。
相続税は以下のように計算します。
【遺産総額-(3,000万円+600万円×法定相続人の人数)】×相続税率
相続税の算出方法について、より詳しく知りたい方は、こちらを御覧ください。
●登録免許税
登録免許税とは、不動産の名義変更の手続き(登記手続き)をする際にかかる税金です。相続における名義変更(相続登記)の場合の税率は、不動産の固定資産税評価額0.4%です。
例えば、不動産の固定資産税評価額が1,000万円の場合の登録免許税は4万円となります。
登録免許税について詳しく知りたい方はこちらを御覧ください。
●譲渡所得税
不動産を売却し、利益が出た場合にかかる税金で、所得税と住民税を合せて「譲渡所得税」と呼びます。
譲渡所得税は以下のように計算します。
譲渡所得(売却して得た利益)×(15%【所得税】+5%【住民税】)=譲渡所得税額
譲渡所得(売却して得た利益)×(30%【所得税】+9%【住民税】)=譲渡所得税額
●復興特別所得税
東日本大震災の復興のために制定された税金で、所得が発生した場合には、全員が支払わなければいけません。税額は所得税の2.1%です。
●印紙税
契約書の作成にかかる税金で、売買するものの金額に応じて税額が決められています。印紙税は、利益が出ていなくても支払う必要があります。
印紙税は、収入印紙を購入し、契約書に貼り付けるだけで構いません。収入印紙は郵便局やコンビニなどで購入することができます。
なお、支払う人は決められていません。売り主が支払うこともあれば、不動産会社が負担してくれることもあります。
印紙税の税額は以下のとおりです。
契約書に記載されている金額 | 印紙税 |
---|---|
500万円以下のもの | 1,000円 |
1,000万円以下のもの | 5,000円 |
5,000万円以下のもの | 10,000円 |
1億円以下のもの | 30,000円 |
5億円以下のもの | 60,000円 |
10億円以下のもの | 160,000円 |
50億円以下のもの | 320,000円 |
50億円を超えるもの | 480,000円 |
2.費用
税金以外にも、以下のような費用がかかります。
●仲介手数料
不動産の売買を仲介してくれた不動産会社へ支払う手数料です。仲介手数料は、宅地建物取引業法で、以下のように上限が定められています。
売買価格 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 売買価格の5%+消費税(10%) |
200万円超、400万円以下 | 売買価格の4%+2万円+消費税(10%) |
400万円超 | 売買価格の3%+6万円+消費税(10%) |
こちらは上限であるため、この金額を超えることはありません。
不動産業者によっては上限より低い金額を設定しているところもあります。具体的な仲介手数料は、不動産業者に問い合わせてみましょう。
●司法書士の手数料
相続登記や売買契約書の作成を司法書士に依頼した場合、依頼費用がかかります。
手数料の相場は以下のとおりです。
登記手続き:3~10万円
売買契約書等の作成:3~6万円
相続した家を売却する際にかかる税金を節税する方法
相続した家を売却する際には、相続税や譲渡所得税などがかかりますが、できるだけ支払う税金は抑えたいですよね。
そこでここでは、相続した家を売却する際にかかる税金を節税する方法を解説します。
配偶者控除
家だけではなく、配偶者が遺産を相続すると「配偶者控除」として、相続額が
- ・1億6,000万円
- ・法定相続分
上記どちらかの範囲内であれば、相続税が課税されません。
子供などが相続する場合、基礎控除【3,000万円+600万円×法定相続人の人数】しか控除されません。家が基礎控除を超える場合には、配偶者が相続して売却することで相続税を抑えることができます。
ただし、売却後、子供に売却益をまとめて譲ってしまうと相続税よりも高額な贈与税がかかってしまいますので、注意しましょう。
取得費加算の特例
「取得費加算の特例」とは、相続によって取得した不動産を3年10ヶ月以内に売却した場合には、相続時に支払った相続税の一部を譲渡資産の取得費に加算ができるという特例です。
不動産売却時の譲渡所得税は、【(売却代金ー不動産の取得費ー手数料)×税率】で計算します。つまり、不動産の取得費が大きくなれば、課税対象額が下がる分、譲渡所得税が少なくなるということです。
通常、不動産の取得費とは、購入費や購入時の諸費用などが該当しますが、相続した不動産は無償で取得するものですので、取得費がかかりません。そこで、相続税を支払った場合には、その相続税を「取得費」として加算するというのがこの特例です。
取得費加算の特例が適用される条件は以下のとおりです。
- ・相続または遺贈によって取得した財産であること
- ・相続時に相続税が課されていて納税していること
- ・相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却していること
相続時から3年10ヶ月を過ぎてしまうと、適用されなくなりますので、注意しましょう。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例とは、亡くなった方の自宅や、賃貸アパート・貸し駐車場のような収益物件、事業所などの土地の評価を減額する特例です。
対象物件は以下の4つに区分されます。
- ・特定居住用宅地等(亡くなった被相続人の自宅)
- ・貸付事業用宅地等(賃貸アパートや貸駐車場など収益物件)
- ・特定事業用宅地等(被相続人の事業用地)
- ・特定同族会社事業用宅地等(亡くなった人が自身の経営する同族会社に貸していた土地)
- ※同族会社とは、被相続人とその親族の持株割合が50%を超える会社です。
それぞれの減額割合・限度面積は、以下のとおりです。
用途 | 区分 | 限度面積 | 減額割合 |
---|---|---|---|
自宅 | 特定居住用宅地等 | 330㎡ | 80% |
収益物件 | 貸付事業用宅地等 | 200㎡ | 50% |
事業用地 | 特定事業用宅地等 (特定同族会社事業用宅地等) |
400㎡ | 80% |
土地の総面積が限度面積を超える場合、超えた部分は減額されません。
なお、取得費加算の特例と併用はできないので、より減額できるほうを選択するようにしましょう。
空き家の特例
「空き家の特例」とは、家主が亡くなったことにより、空き家となる住宅を売却する場合には、譲渡所得から3,000万円を控除する特例です。空き家が放置されることを目的としており、家主が亡くなった時点で一人暮らしだったケースのみに適用されます。
ただし、この特例は、家に耐震性があることが条件となっており、古い家の場合には適用されない可能性があるので注意が必要です。
適用される条件は以下のとおりです。
- ・相続開始時に亡くなった人が1人で暮らしていたこと
- ・相続日から起算して3年目の12月31日までに譲渡すること
- ・2023年12月31日までに売却すること
- ・耐震基準に満たしていること。満たしていない場合はリフォームをするか取り壊して売却すること
- ・昭和56年5月31日以前に建築された物件であること
- ・売却代金が1億円以下になること
相続した家が売却できないときの対処法
相続した家がどうしても売却できないこともあるでしょう。不要な家を所有していても、維持費や維持する労力がかかる事になってしまいますので、以下のような対処を取ることをおすすめします。
- ・相続放棄する
- ・寄付する
- ・贈与する
- ・賃貸として貸し出す
それぞれ詳しく見ていきましょう。
相続した家が売却できないときの対処法1/相続放棄する
家が売却できそうにないときには、相続放棄も検討しましょう。
ただし、相続放棄をすると、家以外の他の遺産についても相続できなくなるので注意してください。
また、相続放棄には期限があります。相続開始もしくは相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きをしなければいけません。なお、3ヶ月を過ぎている場合でも、一定の事情があれば、家庭裁判所に申し立てれば期限を延長できる可能性があります。
期限内に手続きができない場合には、司法書士へ相談してみましょう。
相続した家が売却できないときの対処法2/寄付する
どうしても家が売れない場合には、無償で寄付することも考えましょう。
家は、所有しているだけでも税金や維持費がかかりますし、メンテナンスのために労力も要します。また、空き家として放置すると、様々なリスクが伴います。
そのような負担・リスクがあるのであれば、タダでも手放したほうが良いということもあるでしょう。
寄付先は、国や地方自治体、一般企業、公益法人などがあります。寄付を受けてくれそうな機関に相談してみましょう。
ただし、あまりにも古い家の場合、「利用価値がない」と判断され、寄付を受け付けてもらえないこともあります。
なお、一般企業や公益法人に寄付する場合、利益を得ていなくとも「みなし譲渡所得」として課税対象になることがあります。
課税されるかどうかは、物件の状況・寄付先によって異なりますので、詳しくは税理士に相談してください。
相続した家が売却できないときの対処法3/賃貸として活用する
賃貸として貸し出すという選択肢もあります。しかし、そもそも売れにくい家というのは、立地や家の状態的に賃貸としてもあまり需要がない可能性があります。
貸し出すにしても、家賃を安く設定しなければいけないことが多く、借り主との契約など手間だけがかかってしまうリスクがあります。
そのため、賃貸として活用することはあまり現実的では言えません。
まとめ|不動産の相続についてはグリーン司法書士法人にお任せください
家を売るというのは、簡単なことではありません。特に、相続する家の場合古い家であることが多いため、よりハードルが高くなる傾向にあります。
家の売却が難航したら、本記事で紹介したコツをぜひ実践してみてください。
また、不動産の相続は、相続登記など複雑な手続きが多く、お困りの方も多いのではないでしょうか。
グリーン司法書士法人には、不動産に詳しい司法書士が在籍しております。また、グループ会社には不動産会社を有しておりますので、相続手続きから売却まで一貫して対応が可能です。
初回相談料は無料です。オンライン相談も受け付けておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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- 全国司法書士法人連絡協議会 理事