「相続」を「争族」にしないために
2016.02.18
以前にも掲載したのですが、同様のご相談が後を絶たないので、再度掲載したいと思います。
相続人間での遺産相続でモメる原因の多くは「元々、関係が悪い」ケースと、「遺産分割を契機に関係が悪くなった」ケースのどちらかに分類されることが大半です。
そして、「遺産分割~」のケースで、最も多いご相談は、「相手からいきなり手紙が送られてきて、『分割方法がどうのこうの、あなたの取り分はこうなるが、これだけ譲ってほしい、だからこの書類に実印を押して、印鑑証明書を送ってください』と書いてあった。手紙一通で、こんな大事なこと、決められるわけないでしょう」というご相談です。
仰るとおりです。
そんな手紙が突然送られてきたら、びっくりしますし、腹が立つのは当然です。
相続人であれば誰しも、相続人になった瞬間に「相続権」という強力な権利が与えられます。
その強力な権利を少しでも、他の相続人に引っ込めてもらおうとか、分けてもらおうと思うのであれば、相当な誠意を示して、やっとの思いで引っ込めてもらったり分けてもらえるのが当然ではないでしょうか。
「僕は親の面倒をずっと見てたのに、妹は全然見ていなかった。妹は遠慮して当然だ」という理屈は、通用しないと思っておいたほうがいいでしょう。
親の面倒を全然見ていなかった妹さんにも、面倒を見ていたお兄さんと同じように、相続権という権利が認められているのです。
これが現行の法律です。
法律の世界にウルトラCは無いのです。
だから、法律には「亡くなった後に子供達をモメさせたくないのであれば、ちゃんと「遺言」を用意しておくようにしてね」と書いてあります。
このケースの場合、全然面倒を見なかった妹に財産を渡したくないのであれば、親に遺言を遺しておいてもらうとか、親に生命保険に加入しておいていただき、兄を受取人に指定しておいてもらうとか、そういった方法が考えられます。
「財産」が親のものである以上、全てはご両親の「生前」に、遺産相続でモメない対策をしておいてもらうしかないのです。【西田】