不動産相続でよくあるトラブルとは?事例から解決策と事前対策

代表司法書士山田愼一

山田 愼一

相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人の代表司法書士。

保有資格:司法書士/行政書士/家族信託専門士/M&Aシニアエキスパート

不動産が関係する相続トラブルは、解決までに時間がかかることが多いので、事前に対策をしておきましょう。

この記事では、相続財産に不動産がある場合に起こりやすい相続トラブルについてご紹介し、解決方法と事前の対策についてお話ししていきます。

不動産の相続がトラブルに発展することはよくあります。事前の対策をしておきましょう。

不動産相続のよくあるトラブルについて

相続トラブルに発展するのは、不動産が要因になることが多いのはご存じでしょうか。

親が亡くなった時に、親が住んでいた実家をめぐって相続トラブルに発展することがあり、不動産が相続トラブルのきっかけとなるのは、お金持ちだけではなく、一般的な家の場合も当てはまります。

不動産相続トラブルの件数は毎年増加

不動産相続に関するトラブルの件数は毎年増加傾向にあり、最高裁判所が作成した「平成24年度司法統計」によると、家事調停や審判まで至った遺産分割事件の件数は、平成14年は約11,000件でしたが、平成24年には約15,000件と約4,000件増加しているのです。

遺産分割協議で解決しなかった場合に、家事調停を行い、裁判官と民間から選出された調停員が間に入って解決に向けて進めていきます。

不動産相続トラブルの原因

相続財産が現金だけの場合は、均等に割ることができるので、もめる可能性も低くなりますが、不動産のように割ることのできない相続財産がある場合はどうしてもトラブルになる可能性が高くなります。

不動産の資産価値をどのように評価するかによって、それぞれの相続額が異なってきますし、売却して現金化して解決したくても、簡単に売却できない場合もあります。

また、亡くなった方と同居していた相続人がいる場合は、そのまま相続人が住み続けることを考えると自宅を売却することができませんので、現金化して平等に遺産分割する選択肢は難しくなります。

その場合は、不動産の価額から他の相続人に渡す必要のある法定相続分を計算して現金を渡す必要があります。

このように、不動産など現金以外の相続財産を評価して、その価値をもとに現金を支払う場合に、その金額でもめるなどトラブルに発展することがあります。

その他にも、親の介護をしていた相続人が、何もしていなかった他の相続人と相続金額が同じだと納得がいかずにトラブルになる可能性があります。

このように、相続トラブルの可能性は色々なところにあり、想定外のところからトラブルに発展する可能性があります。

ですので、心配な場合は専門家に相談して事前に対策を行っておくことをおすすめいたします。大阪相続相談所では、無料相談を行っておりますのでお気軽にお問合せください。

不動産相続のよくあるトラブル事例と解決策

では、不動産に関する相続トラブルとは具体的にどのような時に起こりやすいのでしょうか。

相続不動産を平等に遺産分割しようとする場合

相続した不動産を平等に分けようとしてもめてしまうケースについてお話しします。

平等に分けようとしているのに、何をもめるの?と思われるかもしれませんが、不動産価額の指標は複数あるので、どの価額にするかで意見が分かれて相続トラブルに発展する可能性があるのです。

具体的には、「地価公示価格」「基準地価格」「路線価」「固定資産税評価額」の4種類があります。

【解決策】換価分割で回避

不動産を平等に分割するには、下記の4つの方法があります。

  • 【現物分割】不動産などの財産をそのまま相続
  • 【換価分割】不動産などの財産をお金に換金して相続人の間で分割
  • 【代償分割】相続人のうち1人または数人が不動産などを現物で取得し、その代わりに他の相続人にお金を支払う
  • 【共有分割】不動産などの相続財産の一部、または全部を複数人の相続人が共同で所有する

その中でも、換価分割がおすすめです。

換価分割を採用し、相続不動産を売却して現金にすることで、相続人間で平等に分配することができます。

不動産や土地が相続財産にある場合、相続財産を平等に分割することは難しいので、事前に相続人間で相続財産を平等に分けられない場合は、どのように相続財産を分配するか、貯蓄からお金を渡すかなどについて相続人同士で話し合いましょう。

相続人同士が納得のいく分配になれば、金額的に平等でなくてもいいのです。

不動産を相続すると遺産分割が平等ではなくなる場合

亡くなった方と同居していた相続人がいた場合、その相続人が引き続き住む可能性があります。

この場合は、引き続き住む相続人が自宅や土地を相続することになりますが、価値のある不動産であったり、不動産以外に相続財産がない場合などはトラブルになる可能性があります。

【解決策1】代償分割で対応

この場合は、先ほど不動産を平等に分割する方法でお話しした【代償分割】を選択します

代償分割とは、相続人のうち1人または数人が不動産などを現物で取得し、その代わりに他の相続人にお金を支払う方法です。

不動産を相続する相続人に、他の相続人に支払うことができる資産があることが前提となります。資産がない場合は、代償分割はできません。

代償分割を採用した際に、不動産の価額を決める方法は「相続税評価額」と「代償分割時の時価」の2つあります。

ですが「相続税評価額」は時価の80%程度になることが多く、代償金を受け取る相続人が納得しない可能性があるため、「代償分割時の時価」が採用される場合が多いです。

代償分割を行う資金がない場合は、早めに他の相続人に事情を説明して理解を得る努力をしておきましょう。

代償分割の注意点としては、代償分割の内容を遺産分割協議書に記載して、金銭の譲渡が代償分割によるものだと明記しておかなければ贈与とみなされ贈与税の対象となってしまう可能性があることです。

また、代償金の代わりに別の不動産を譲ると、譲渡所得税の対象となってしまうので気を付けましょう。

【解決策2】遺言書を作成しておく

生前にできる対策としては、被相続人(相続される人、相続の開始にあたっては亡くなった人)に遺言書を作成してもらうことです。

同居している人に不動産を相続させるという内容の遺言書を作成しておいてもらうと、スムーズに相続することができます。

ですが、他の相続人に遺留分を請求された場合は、現金で法定相続分を支払い必要があるので現金を準備しておく必要があります。

相続不動産の名義変更ができていない場合

親が亡くなり不動産を相続したので名義変更(相続登記)を行おうとしたら、名義が祖父のままになっていたということが少なくありません。

この場合は、祖父の時の相続から対応していくことになるので、時間と労力がとてつもなくかかり、ご自分で行うことは難しいでしょう。

費用はかかりますが、司法書士などの専門家に依頼することをおすすめします。大阪相続相談所では無料相談を行っておりますので、お気軽にお問合せください。

【解決策】親が元気なうちに不動産登記の確認をする

亡くなってからでは、自分で対応することが難しいため、親が元気なうちに不動産の名義について話をしておくことをおすすめします

もし、祖父の名義のままであった場合でも、親に名義変更を行ってもらう方が、早く解決できます。

相続不動産を空き家にする場合

自分の家がある方が、親が亡くなり実家を相続した場合に、思い入れがあるので売却することができず、空き家として維持する選択をすることがあります。

ですが、空き家をそのまま放置しておくと、想定していないトラブルに発展したり、リスクがあったりするので、注意しましょう。

空き家の相続については、下記ページでリスクや対策について説明しておりますので、ご参考にしてください。

  空き家の相続について
【解決策】相続した場合の対応を事前に考えておく

相続人の状況を考えて、実家を相続する可能性が高い場合は、相続したらどのようにするかを事前に考えておくことをおすすめします。

考えられる対応は下記の5つがあります。

  •  相続不動産を売却
  •  相続不動産を誰かに貸し出す
  •  相続不動産の管理を管理会社に依頼する
  •  相続不動産の管理を家族で定期的に行う
  •  相続不動産に家族で住む

ご自身の状況から、最適な方法を考えておきましょう。

不動産をもらえると勘違いしている場合

親を長年介護していたり、実家で同居していたりする場合は、親が亡くなったら不動産を相続できると思い込んでしまうことがあります。

相続人のうちの1人が、被相続人(親)と長年一緒に住んでいたとしても、実家の不動産をそのまま相続できるわけではありません。

ですが、長年介護などで被相続人に貢献してきたのに、何もしていない他の相続人と同額の相続財産しかもらえないのは納得いかない方もおられるかと思います。

その場合は、寄与分という制度を活用しましょう。

【解決策】寄与分と活用

寄与分とは、被相続人に対する貢献を相続に反映させるための制度です。

被相続人の財産の維持や増加に特別な貢献をした相続人がいる場合に、その貢献分だけ財産を多く相続できます。

長年介護をして高額な入院費などの負担していたり、家業を長年手伝い財産の蓄積に貢献していたりする場合は、寄与分が認められる可能性があるので検討してみましょう。

司法書士か弁護士どちらに依頼するの?

司法書士は不動産の専門家なので、不動産関係は司法書士に相談ください。

不動産の相続が発生するのは、相続が発生した中の約50%なので、司法書士は相続手続きに関わることが多く、最初に司法書士に相談していただくとスムーズに相続手続きを進めることができます。

ですが、争いに発展してしまった場合は弁護士の業務範囲になります。

争いごとになる前なら司法書士に相談いただき、他の相続人に訴えられているなど争いになる場合は弁護士に相談しましょう。

弁護士に依頼すると費用が高くなる傾向にあるので、相続財産が減ってしまう可能性があることに注意が必要です。

相続人同士で話し合い、譲り合って遺産分割を行う方が結果として得になることもあるので、まずは話し合ってみましょう。

『手続きは信頼できる第三者に頼みたい』という時には司法書士に相談ください。大阪相続相談所では相続手続きを専門家にお任せするプランを用意しておりますし、無料相談を行っておりますので、まずはお気軽にお問合せください。

不動産相続トラブルのまとめ

不動産を相続した場合のトラブルについて事例と解決策をいくつかお話ししましたが、不動産が相続財産にある場合、平等に分けることは難しく、相続人間で納得がいくように話し合うことがトラブルを回避する一番の方法かと思われます。

なるべくトラブルにならないように事前にできる対策はありますが、対策をしていても納得いかない相続人がいればトラブルに発展する可能性があるからです。

どうしても話し合いでは解決しない場合には、弁護士に依頼して相続トラブルを解決するしかありません。

弁護士へ依頼する費用は高くなることが多いので、その費用を支払ってもいいかも検討しましょう。

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  山田 愼一

相続の相談件数は業界でもトップクラスの年間1800件のグリーン司法書士法人 の代表司法書士。
一般の方向けのセミナーの講師や、司法書士や税理士等専門家向けのセミナー講師も多数手がける。オーダーメイドの家族信託を使った生前対策や、不動産・法人を活用した生前対策が得意である。




代表司法書士山田愼一
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