争続防止と円滑な事業承継
2011.10.28
こんにちは司法書士の中川です。今回は「法定遺言事項→法的効力を持つ」と併せて,遺言に記す「付言事項→法的効力を持たない」の例をご覧いただきたいと思います。
私は株式会社OOを一代で,小さくても立派な会社に育て上げたことを大変誇りに思っている。しかし,それは同時に,株式会社OOが私たち家族だけのものではなく,従業員や取引先の方々とともに成長する社会的存在となったということであり,私たち家族は,その重い責任を常に意識しなければならないということでもある。本遺言書において,私が所有する株式会社OOの株式すべてを長男に相続させることとし,結果として他の相続人との形式的公平を欠く内容となったが,そのことは,去りゆく私に代わって長男に,その社会的責任と使命を果たすべき義務を課したという趣旨であり,決して相続人の権利に差違を設けようとするものではない。長男は,結果として多くの資産を承継することになるが,それは当然に大きな責任と負債とが伴うものであるから,他の相続人はそれを十分理解し,長男を支えて,共に株式会社OOを発展させてほしい。また,私の遺す財産は,私たち家族のものであると同時に,ありがたくもこの社会から与えられたものであるから,1円たりとも浪費することなく大切にして,再び社会に還元するような使い方をしてくれるよう,強く希望する。
このような付言を遺しても相続人間で紛争が生じてしまう場合はあるでしょう。しかし,父からの心に響くメッセージに何も感じない方はいないと思います。当事務所では心あたたまる遺言の作成をご提案させて頂くと同時に公認会計士,税理士と共に中小企業の事業承継を応援させて頂いております。
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