相続と遺言書なら大阪相続相談所
2012.11.12
神や祖先を祭ることを「祭祀」といいますが、お墓などの祭祀財産を管理したり、葬儀の喪主を務めるなどの祭祀を行う者のことを、「祭祀承継者」といいます。
一般的には、被相続人の配偶者その他親族がされる場合が多いと思いますが、法的には、たとえば、被相続人が遺言書などで指定した場合には、その指定された者が祭祀を承継します。この指定は、遺言ですることができますが、生前に口頭で指定してもかまいません。被相続人の指定がない場合は、一般的慣習に従って承継者が決まります。被相続人の指定もなく、慣習も明らかでない場合は、家庭裁判所の調停・審判で決められます。時々、ご相談いただくこともあるのですが、遺産分割に際して、祭祀を承継することを理由として、遺産の取得分を多く主張したりすることは認められません。なぜなら、祭祀承継者が今後祭祀を営むかどうかは、その者の自由であって義務ではないからです。
ちなみに、承継した祭祀財産を処分することは祭祀承継者の自由です。極端な例になりますが、もし、祭祀承継者が「お墓を管理していくのはイヤだ」と思った場合は、誰の同意も必要とせずに、その墓地を処分することができるのです。
ですから、たとえばお子さんに「今後もきちんとお墓を守っていってもらいたい」 、というふうに思われているようであれば、責任をもってお墓を守ってくれるお子さんを、生前のうちに祭祀承継者に指定しておく、といったことが必要だと思われます。【西田】