相続と遺言書なら大阪相続相談所
2012.08.09
しかし、信託の仕組みを使えば、たとえば委託者の「お父さん」自身が、自己が健在の間は自らが「受益者」となり、「お父さん」の死亡により「お母さん」が次の受益者となり、さらに「お母さん」の死亡により「お父さんの次男さん」が次の受益者となるという信託契約を結んでおけば、受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得するということを可能にするのです。また、受益者を「胎児」に指定したり、「最初に生まれてくる子」を次の受益者にするなど、信託設定時に存在しない者を連続する受益者に含めることもできます。
ただし、これを認めると「連続する受益者達」の中で資産が固定化してしまい、社会経済上、好ましくない状況となりますので、「信託契約がされたときから30年」という制限が設けられています。
しかし、信託の仕組みを利用すると、「遺言」では実現できない資産の「世代を超えた」承継が可能となってきますので、今後注目される制度であることには変わりないと思われます。
この受益者連続信託が活用される代表的な例としては、①妻との間に子のいない夫は、妻に資産を残したいが、妻の死亡後は、妻の親や兄弟にその資産を承継させるよりも、自分の兄弟に承継させたい場合、その他にも②後妻との間に子のいない夫は、後妻には資産を残したいが、後妻の死亡後には、後妻の親兄弟、もしくは後妻が再婚するかもしれない将来の夫に相続させるよりも、前妻との間の子に承継させたい場合、などが挙げられます。【西田】