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お子様のいないご夫婦の場合

ケース1 お子様のいないご夫婦の場合

このケースの場合、ご夫婦のどちらかが亡くなると、まず残された配偶者が相続人になります。(このケースに限らず、配偶者は常に相続人になります。)

ご夫婦にはお子様がいないので、残された配偶者と同じく相続人になる可能性があるのは、故人(被相続人)の両親です。(ちなみに、自分よりも先の世代にある者を尊属といい、後の世代にある者を卑属といいます。)

通常、故人がある程度の年齢(70~80歳)に達していれば、そのご両親もそれなりの年齢のはずですから、既に死亡しているケースが多いのです。両親が既に死亡している場合は、更にもう一つ上の世代である故人(被相続人)の祖父母が相続人になりますが、当然、年齢はご両親よりももっと高いはずですから、死亡している確率は非常に高く、相続人になる可能性はもっと低くなります。

したがって、故人がある程度の年齢に達していた場合、故人のご両親又は祖父母が相続人になる可能性は現実的にはかなり低いといえます。

そして、ここからが大きな問題なのです。

子供がおらず、尊属の方も死亡している場合、残された配偶者と故人の兄弟姉妹が相続人となります。この場合、残された配偶者と故人の兄弟姉妹で遺産分割協議を行い、誰が何を相続するのかを話し合って決める必要があります。

この時点で、残された配偶者がすべての遺産を相続しようと思えば、兄弟姉妹から遺産を相続しない旨(遺留分放棄や相続放棄)の書面に署名と実印による押印が必要になります。

それができなければ、不動産や預貯金の名義を配偶者に変更することはできません。故人の兄弟姉妹が協力的な方ばかりとは限りません。むしろ、経済情勢は未曾有の大不況ですから、兄弟姉妹が経済的に困窮している可能性は十分にあります。主張できる権利があり、自分に少しでも財産が入るようなチャンスが目の前にあれば、欲しくなって当然といえます。
残された配偶者が、『相続放棄してください』などと義理の兄弟姉妹を説得するのは相当に難しいのが現実です。

さらに、兄弟姉妹が死亡している場合、その子供(故人から見れば甥・姪)が相続人になる可能性も十分にあります。こうなると面識のない人が含まれ、残された配偶者に、このような方々とも遺産分割の協議をさせて、すべての遺産を相続させるのは至難の業でしょう。

しかし、配偶者にすべての遺産を相続させる旨の遺言を作成しておけば、問題はありません。遺留分(相続人固有の権利)という遺言によっても完全には奪えない遺産の保障が、故人の兄弟姉妹にはありませんから、配偶者にすべて相続させたからといって、後で誰からも文句を言われることはありません。

残される配偶者の生活を守るためにすべての遺産を配偶者に相続させてあげたいとお考えなら、夫、妻にかかわらず、絶対に遺言を作成しておくべきです。

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